近畿日本鉄道(近鉄)では、2024年秋に新型一般車両を導入することを決定しました。これは、昭和40年代に製造した車両の置き換えのためです。なお、近鉄の新型一般車両の導入は、2000年のシリーズ21以来24年ぶりです。
【近鉄発表】
新型一般車両の外観
今までの近鉄にはない斬新なデザインですね。ブラックフェイスの上部は、シリーズ21のデザインを引き継いでるように思います。下部~スカートにかけては、伝統の「赤」一色となっており大変目立つほか、側面上部・下部に青のラインが入っており、以前近鉄が保有していた近鉄バファローズのユニホームを連想させます。
また、標識灯は六角形のデザインに合わせて斜めに配置されており、最近の車両デザインの傾向を取り入れています。そして、連結開放の多い近鉄でもついに転落防止ホロが設置されました。JR西日本の車両のみかと思いましたが、まさか近鉄でも設置するとは予想外でした。従来車にも設置が普及するのでしょうか?
新型一般車両の概要
- 運行開始時期:2024年秋(予定)
- 投入線区:奈良線・京都線・橿原線・天理線(他線区へも展開予定)
- 新造両数:4両×10編成 計40両
- 価格:1両あたり約1.85億円
新型一般車両の車内設備など
座席
座席はロング・クロス転換シート(L/C シート)を採用し、車内の混雑度に応じて最適なシート
配置を提供します。(混雑時に乗降しやすい横並びのロングシートと、進行方向に向かって着席
するクロスシートを切り替えて運用します。)
▼まさかのL/Cカーになりました。昼間時はクロスシートでゆったりできますね。座席は花柄の座席表布、壁は木目調となり、手前左の仕切りのデザインからも、明るく優しい印象に仕立てられているのがわかります。26000系さくらライナーの通勤型車両版でしょうか。貫通扉の窓も大きく、照明はLEDを採用するそうなので、明るい車内になりそうですね。
▼ロングシート時とクロスシート時のイメージです。緑の部分は、ベビーカー・大型荷物対応スペースとなっており、1両あたり2か所設置されます。これは日本初です。
扉まわり
半自動ドア
戸閉力を制御することで、閉まる扉に荷物が挟まった場合に抜き取りを容易にします。
・お客さまが個別に扉を開閉できるスイッチを設置し、酷暑時や厳冬期の車内保温を図ります。
2段目の『個別に扉を開閉できるスイッチを設置』がうれしいですね。JR西日本の新型車両ではこの機能が設置されており、長時間停車時でも車内は快適さを保っています。特に山越え区間の多い大阪線に導入された場合は大いに役立つのではないでしょうか。
大型液晶ディスプレイ
車内の扉上に大型の液晶ディスプレイを設置し、停車駅、次の駅や駅構内設備等を多言語で表示するほか、列車の運行情報もご案内します。
▼扉上に大型の液晶ディスプレイが設置されます。左側では名所案内や天気情報・ニュースなどを流すのでしょうか。一部の車両に小型のものが設置されていますが、新型車両では本格的に設置されるようで、情報提供サービスが大きく改善されそうです。
その他バリアフリー
・ホームから編成連結部への転落を防止するため、転落防止幌を編成先頭部に設置します。
・従来車両と比べて車両床面の高さを下げ、駅ホームとの段差を低減します。
・各車両の両端に優先座席を配置します。(うち1か所は車いすスペースを併設)
マシン
・新型の VVVF インバータ制御装置を採用することで、従来車両比で消費電力を約45%削減します。
・車内照明や前照灯に LED 照明を採用して省エネルギー化を進めます。
・効率的に車両の保守を行うために、省メンテナンス性を考慮した各種機器を採用します。
IGBT-VVVFインバータ制御を採用しそうですね。
さいごに
シリーズ21以来24年間通勤型車両の新造がありませんでしたが、この車両の導入で一気にサービスが進化しそうですね。
この新型車両の導入により、旧型車両の動向が注目されそうです。まず導入される奈良線・京都線での最古参形式は8000系(34両)・8400系(45両)です。2024年から順次導入して置き換えられていくものとみられますが、3両編成をどうするかが気になるところです。
▼近鉄奈良線学園前駅で離合する近鉄8000系