10系は、大阪市交通局時代の1979年(昭和54年)より10年間にわたり製造された車両です。
第三軌条方式の車両としては、日本初の冷房車でした。
先に登場した30系と同じく、車体長18メートル、4ドア、側面2段窓を採用しています。
制御方式は電機子サイリスタ・チョッパ制御器を採用。加速・減速の際に独特の音が聞こえてきます。
30系の後継ぎ車両のような位置づけですが、前面デザインは大幅に変更されています。
前照灯・尾灯は上部左右に配置、貫通扉は運転台部分を拡大するためかやや左側へ寄せられています。
前面窓は上部まで拡大され、表示器具のある部分は黒く塗装されたほか、前面の周囲に縁飾りが取り付けられ、額縁デザインとなりました。
もともとは谷町線を急行運転するために、試験車両である旧20系が4両製造されたが中止になり、10系に編入されています。その編成は10系トップナンバー編成となり、ウルトラマンのような顔をして異彩を放っていました。
1995年から始まった10両化の際に、車両の組み換えが行われて、第1編成~第3編成の車両が第4編成以降の各編成に増結されていますが、旧20系の先頭車など一部の車両は廃車となっています。中には先頭車を中間車に改造した車両があり、冷房装置の位置で判別できます。
1998年から2003年に更新工事が行われ、先頭車の顔がブラックフェイスに、車内にはLED案内表示機も設置されました。この期間に更新工事が行われたのは、第5編成~第16編成が対象となっています。2006年からは第17編成~第26編成を対象に更新工事が行われましたが、制御装置がVVVFとなり、10A系に分類されています。また、未更新のまま残った第4編成は2011年に廃車になりました。
後継ぎの30000系の登場により、2013年には第7編成が、2014年には第5編成が廃車となりました。
その後も10系の置き換えが進み、2019年11月には10A系として初めて、第18編成が廃車になっています。2020年7月の第13編成をもって10系は全廃され、2021年8月現在、残る10A系は6編成のみとなっています。
2013年9月に、大阪市営交通110周年記念を記念した「復刻ラッピング列車」が御堂筋線で運行を開始しました。この編成には5種類のラッピング(過去に大阪市交通局で運用された車両の塗装)が2両ずつ施され、カラフルな列車となりました。
また、2014年5月からは、110周年目を迎えたことを記念し、地下鉄・ニュートラム各線で目玉電車が走りました。
2018年3月19日(月)より「市営交通ご愛顧ありがとうキャンペーン」の一環として、御堂筋線10系3編成に『さようなら大阪市交通局』ヘッドマークが掲出されました。